3分でわかる書解:『コンサル一年目が学ぶこと』
2020年5月6日

レーティング
面白さ :★★★☆☆
実用性 :★★★☆☆
読みやすさ :★★★☆☆
総合お勧め度:★★★☆☆
こんな人におすすめ
- 仕事の効率を向上させたい
- コンサルタントの働き方・マインドセットがどんなものか知りたい
- ロジックツリーやら空雲傘といったコンサルナレッジを薄く広く知りたい
Key takeaways
相手の期待値を超えるためには、把握、集中、コントロールが必要
「結果を出す」とは相手の期待値を超えること。相手の期待値を超え続けるために必要なポイントは把握、集中、コントロールの3点。
- 相手の期待値を正確に把握する
- 以下4点を必ず正確に把握する
- 仕事の背景・目的:まずは仕事の背景と目的、できれば望ましいゴール(何がどういう状態になっていれば成功と言えるか)。例えば資料作成なら、資料の使用場面、想定読者など。
- 具体的なアウトプットイメージ:最終的な成果物(ないしは直近の中間成果物)がどういった形式であるべきか。例えば分析資料ならパワーポイント資料にすべきか、エクセルのピポットテーブルでよいか、など。
- クオリティ:アウトプットに必要な粒度はどの程度か。クオリティと工数はトレードオフになるため、必要以上のクオリティは好ましくない。例えば分析作業なら、社内討議用の初期的な分析が必要なのか、トップマネジメントの意思決定用に詳細な定量分析が必要なのか。
- 優先順位・緊急度:いつまでにアウトプットが必要か。例えば1週間後のミーティングまでに必要なのか、2時間後の打ち合わせまでに必要なのか。
- 以下4点を必ず正確に把握する
- 把握した期待に集中し、絶対に外さない
- 確認した期待値を、絶対に超える。超え続ける
- 相手が期待していない部分に、余計な労力を使わない
- 期待値をコントロールするため、安請け合いしない
- 実現不可能な期待値を相手に与えてはいけない
- 時には相手の期待を下げて、期待値をコントロールすることも必要
仕事を効率的に進めるためには「考え方を考え」、事前にキーパーソンと合意することが必要
- 考え方を考える、とは仕事に実際に取り掛かる前にアプローチと段取りを明らかにし、キーパーソンと合意すること
- アプローチ
- どう考えたら答えが出るのか、その道筋を考える
- 例えば、ある企業の営業効率を分析する場合、販売データを分析すべきか、それとも販売店で顧客にインタビューすべきか。分析するにしても過去実績比較すべきか、それとも競合他社のベンチマークと比較すべきか。
- 段取り
- どうやったら計画通りのアプローチを実現できるか、具体的な方法とタイミング
- 例えば販売データを分析する場合、昨年度の販売実績データは誰からいつ入手可能か。比較対象となる競合他社のベンチマーク数値はどのデータソースからいつ入手可能か。
- アプローチ
- これにより、手戻りの発生によるロスや、タイムマネジメントのミスといったリスクを大幅に軽減できる
プロフェッショナルのチームワークとは、全員が打席に立ってスイングすること
- 新人だろうがだろうが舞台に立ち、選手としての役割を果たす
- 多くの会社では新人は「アシスタント(プロ野球で例えるなら、用具係のような裏方)」だと思われている。一方、コンサルファームでは、新人は「9番打者」として打席に立つことが求められる
- 例えば会議において、発言をしないということは打席に立っていないということ。三振でもいいから、とにかくスイング(=発言)するべき。
Other key words
- 本質を見出すためには、情報量ではなく、一段高い視点が必要
- 「バリューがある」とは「クライアントが価値があると思う」こと
- Quick and dirty
- コミットメント力。人の手を借りてでも、約束を果たすことを優先する
- プロフェッショナルの仕事のうち、言語化できる部分はすでにコモデティになっていて、差別化できない
Commitment for tomorrow
- タスク実行前の期待値把握、アプローチアラインの徹底
- 会議(少なくともインターナル会議)では、どんなトピック・参加者でもかならず発言する。
- そのために、会議参加10分前には資料に目を通し、発言内容をあらかじめ考えておく
著者
大石 哲之
1975年東京生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社後、戦略グループのコンサルタントとして、全社戦略の立案、マーケティング、営業革新などのプロジェクトに携わる。その後、株式会社ジョブウェブを起業し、取締役副社長。同社退社後は、個人コンサルタントとして独立、本の執筆も開始。株式会社ティンバーラインパートナーズを設立し、現職。