部下へ効果的にフィードバックしたければOILSモデルに従うべし!(問題編)

そろそろ年度末も近づいてきて人事考査や人事面談をまもなく迎える方も多いのではないでしょうか。人事面談は評価者からフィードバックを受ける貴重な機会ですが、フィードバックってする側もされる側も難しいですよね。例えば、皆さんにもこんな経験がありませんか?

今日は上司から人事考査のフィードバックを受ける面談がある…どんな評価を受けるんだろう

部下
部下

今日は部下君の人事面談か。本当は言いたいこと色々あるけど…下手なことを言って鬱になられても困るし、適当にほめてお茶を濁しておこう

マネージャー
マネージャー

…人事考査にて

ええと…君の人事考査だが、非常によく頑張っていると思う

マネージャー
マネージャー
部下
部下

ありがとうございます

この調子で頑張ってくれ。以上だ

マネージャー
マネージャー

え…それだけ?この人私のことちゃんと見てるのかな…

部下
部下

部下へフィードバックを行うことは管理職の最も重要な職能であるにもかかわらず、体系だったフィードバックのトレーニングを受ける機会は(OJT、座学にかかわらず)少ないのではないでしょうか。結果として、独善的なフィードバックを行ってしまい部下を傷つけてしまったり、中身のないフィードバックを行って部下の信頼を失うケースが多く存在します。

今回は皆さんが部下に(あるいは同僚に)効果的なフィードバックを行えるよう、フィードバックのよくある失敗例と、フィードバック方法のフレームとして有名なOILSモデルを紹介します

アジェンダ

  • フィードバックには失敗の頻出パターンが存在する
    • 印象論に基づくフィードバック
    • 問題自体の認識齟齬
    • 非双方的なフィードバック・自分語り
    • 解決方法の欠落
  • OILSモデルは4つのステップから構成されており、各ステップに従うことで効果的なフィードバックが可能
    1. 事実に基づく観察結果の共有
    2. その事実による影響の説明
    3. 相手の言い分への傾聴
    4. 具体的な解決方法の提案

フィードバックには失敗の頻出パターンが存在する

多くの人はうまくフィードバックができないと感じています。では、うまくいかないフィードバックとはどのようなものでしょうか。よくある間違いを類型化してみましょう。

印象論に基づくフィードバック

一つ目は印象論に基づく(=事実に基づかない)フィードバックです。

例えば上司から部下に「やる気が感じられない」というフィードバックを行った場合を考えてみましょう。少々極端すぎますが(笑)、ここで論じたい問題点は「論点がそれるリスク」です。

まず、「やる気の有無」を判断しているのは上司であり、それが事実であるとは限りません。もし「やる気がない」と感じているならば、その原因となった事実をまずは伝えるべきです。もし遅刻が多いのであれば「今月は5回遅刻したようだね」、期日を守れないのであれば「月次資料作成が2か月連続で期日後の提出となっているね」といった具合です。さもなくば部下に「いや、やる気はあります」などと反論されて、意図せぬ論点から議論がスタートしてしまう可能性が高まります

問題自体の認識齟齬

二つ目はフィードバックする側とされる側で論点となる問題の認識に齟齬が発生するパターンです。

例えば契約書類(紙ベース)の管理を任せている部下にフィードバックを行うケースを想定します。上司は部下が書類を体系だった方法で保管していないことを知っており、「契約書類の整理が体系だてて保管されていない」という事実に基づき議論をスタートしたケースを想定してみましょう。ここには二パターンの「問題の定義のずれ」が発生するリスクが潜んでいます。

まず第一に、フィードバックする側が問題だと感じていることを、される側は問題だと感じていないというケースが存在します。この場合、まず議論がかみ合いません。例えば部下は契約書類はとにかく指定された書庫に保管さえしていればよく、整理する必要はないと考えているかもしれません。本来的には「○○という理由で整理する必要はないと考えていました。なぜ整理して保管する必要があるのでしょうか」と聞き返せばよいのですが、部下側からは反論しづらくただただ「なぜそんなことで指摘されないといけないのだ」と不満だけを抱えてしまう可能性があります。

第二に、互いが異なった点を問題だと感じてしまうケースが考えられます。例えば上司は契約書類が整理されていないことで他部署(例えば経理部)が目当ての書類を探しづらいことを問題だと感じているのに対し、部下は古い書類を処分する際に効率が悪くなる点を問題だととらえるかもしれません。この場合は誤った解決方法が導き出されてしまうリスクが存在します。上記の例では、部下は処分候補書類のみを選り分けて別管理にするだけで解決できると勘違いしてしまうかもしれません。

非双方的なフィードバック・自分語り

次は一方的にフィードバックを行ってしまうパターンです。

日本ではまだまだ「目上の者が下の者に指摘を行い、下の者は言い訳せずに黙って聞く」のが美徳だという考え方が強く残っていると思います。言い訳をせずに受け入れること自体は大切なことなのですが、双方向的なコミュニケーションが行われなければフィードバックを受ける側に不満を残したり、精神的にダメージを与えてしまう可能性があります。

目上の者のフィードバックも、必ずしも正しいとは限りません。先の契約書類管理の例でいうと、上司の目には漫然と保存されているように見えていても、実際には部下なりに考えた体系で管理しているかもしれません。上司の考える整理方法と、部下の考える整理方法のどちらがより効率的かは状況次第です。しかし仮に上司の考える整理方法の方がより理にかなっていたとしても、それを押し付けるようなやり方では部下の納得感を得るのは難しいかもしれません。

また、非双方向的なコミュニケーションの一種として、フィードバックする側が自分語りを始めてしまうケースも散見されます。例えば「俺も昔書類管理を担当していて、そのころは今よりも書類数が多かったが年代順に管理していたから他人に文句を言われたことなどない」といったようなイメージです。こちらのケースも、(それが求められた場合を除き)フィードバックされる側の腹落ち感を得るのは難しいでしょう。多くの場合ただフィードバックする側が自分の成果を誇示したいだけであり、フィードバック受ける側もそれを感じるからです。

解決方法の欠落

最後は具体的な解決方法が提示・議論されないパターンです。

フィードバックを行う目的は問題の解決です。問題を指摘するだけでは必ずしも解決につながりませんし、解決しようがないフィードバックは行う意味がありません。当たり前のことのようですが、それでもただ人事部が決めたスケジュールで面談しなければいけないからと、フィードバックを行うこと自体が目的となってしまうケースは後を絶ちません。

解決方法の提案を伴わない問題指摘はフィードバックされる側を委縮させてしまったり、人格面を攻撃しているような印象を持たれてしまう可能性があります。例えば「書類整理ができていない」と指摘した場合、受け手によっては「お前は整理ができない人間だ」と言われてるように感じます。一方、「書類整理ができていないようなので、○○という方法で整理してみてはどうかな」と提案することで論調が「あなたの問題」から「私たちの問題」に変わり、受け手にとってのダメージも小さくなります。ここでも双方向的なコミュニケーションを心掛け、双方にとって納得感のある結論を導くことを心掛けましょう。間違っても「俺の時にはこうしていたから、お前も同じ方法でやれ」などと押し付けないように。

「フィードバックされる側に自分で考えてほしい」という理由から敢えて解決方法を提示しないという場合もあるかと思いますが、その場合は明示的にその旨を伝えたうえで期限を設定して解決方法について議論の場を設けるべきです。さもなくばうやむやなまま問題が放置され、不満だけが残るリスクが大きくなります。

ではどのように効果的なフィードバックを行えばよいのか

次回の投稿では解決編としてフィードバックの「OILSモデル」を紹介します。このモデルに従ってフィードバックを行うことで上記のような失敗を避け、効果的なフィードバックを行うことが可能です。効果的なフィードバックが行えれば、指摘した問題が解決されるだけではなく、フィードバックされる側の成長や、フィードバックする側への信頼獲得にもつながります。OILSモデルの紹介は以下の記事にて紹介しておりますので、ぜひ併せて読んでいただけると幸甚です。

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