下へ効果的にフィードバックしたければOILSモデルに従うべし!(解決編)

前回の投稿ではフィードバックでよくある失敗のパターンについて類型化を行いました。
今回はその失敗のパターンにはまらずに、効果的なフィードバックを行うための方法論について記事を作成しました。
アジェンダ
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OILSモデルに従うことで効果的なフィードバックが可能
- 事実に基づく観察結果の共有
- その事実による影響の説明
- 相手の言い分への傾聴
- 具体的な解決方法の提案
- フィードバックを受ける側にも作法が存在する
- まずは真摯に受け止める
- 改善をともに成し遂げる
OILSモデルに従うことで効果的なフィードバックが可能
OILSモデルは世界的なコンサルティングファームであるマッキンゼーにより提唱されたフィードバックの方法論です。OILSとはその4ステップのアプローチそれぞれの頭文字を示しています。
- Observation:観察された事実
- Impact:事実によるインパクト
- Listening:相手への傾聴
- Suggestion:解決方法の提案
それぞれのステップについて詳しく見てみましょう。
Observation:観察された事実
まず最初に、フィードバックを行う基となった事実を伝えて、その事実が正しいことを双方間で合意します。これを行うことで確かな地点から議論のスタートを行うことができ、出発直後から論点がずれてしまうリスク、議論が抽象論に終始して納得感のある解決に至れなくなるリスクを軽減できます。
例)

部下君が管理している契約書類だが、書庫に保管する際に体系だった整理を行っていないようだね
Impact:事実によるインパクト
次に、その事実によるインパクト(=いつ誰にどのような悪影響が発生するか)を伝えます。このインパクトはできるだけ客観的、定量的なものが望ましいですが、場合によっては少々抽象的にならざるを得ないケースもあるかもしれません。
例)

実は経理部が週に2、3回ほどのペースで入金の証憑として参照しているらしく、毎回探すのに手間取ってしまっているようなんだ
Listening:相手への傾聴
ここまできたら一旦相手にバトンを渡し、相手の言い分を聞く機会を確保します。
例)

私も自分で確認してみたが、体系だった整理はされていないように感じたのだがどうだろう?もし部下君なりの整理をすでに行っていたり、他業務が忙しすぎるなど何らかの理由があって整理できていない場合はぜひ教えてほしい
Suggestion:解決方法の提案
相手の言い分も聞いたうえで、指摘した事実及びそれにより悪影響が発生していることが確認出来たら、最後に問題の解決を試みます。ここでは解決方法を提案し、相手の意見も聞きながら双方納得できる方向性を合意します。
この時に注意しなければいけないことは、決して「ぼくの考えたさいきょうの解決方法」を押し付けないことです。あくまで双方が納得できるような方法を協働して考えます。一方で相手に丸投げをしてしまうと相手に「解決不可能な指摘を受けている、無責任だ」という印象を与えかねず、適度な距離感を保つことが重要です。
例)

例えば契約締結年代順に並べてみるのはどうだろうか。丁寧にやりすぎる必要はないので、例えば2010年以前、2001-2015年、2015年-2018年、2019年、2020年の6カテゴリに棚を分けてみてはどうかな?工数がかかるようであれば、来月初の閑散期にAさんとBさんの手も借りられるよう私か話してこともできるので、必要なら教えてほしい
フィードバックを受ける側にも作法が存在する
ここまでは主にフィードバックする側の作法について記載してきましたが、フィードバックはする側と受ける側の共同作業であり、受ける側にも従うべき作法が存在します。
まずは真摯に受け止める
フィードバック、特に改善すべき点の指摘などは受ける側にとっては耳が痛いものです。フィードバックする側は知らないであろう深い理由をすぐに言い返したくなるものですが、その気持ちはぐっと抑えてまずは聞きに徹しましょう。さもなくば、フィードバックする側が意図していない論点に焦点があったってしまったり、 フィードバックする気持ちをそいでしまう恐れがあります。 もしフィードバックしている側がOILSモデルに従っているのであれば、かならず後であなたが話す時間を確保してくれるはずなので、まずは基となった事実とそのインパクトについて説明しきるまで堪えて待ちましょう。
問題解決・改善をともに成し遂げる
フィードバックを受ける目的は人事考査プロセスをこなすためでも上司に気持ちよく自分語りさせるためでもなく、問題を解決すること・改善を成し遂げることです。
指摘を受けたとしても否定的にとらえず、むしろ改善のための気づきを与えてもらったと前向きにとらえましょう。もし受けたフィードバックをレバレッジして大きく改善ができれば、きっとそれはあなたにとって大きな成長機会となるはずです。
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部下へ効果的にフィードバックしたければOILSモデルに従うべし!(問題編) | ADHDだけど現役外資戦略コンサルタント